コヒロハハナヤスリ Ophioglossum petiolatum

シダ植物 ハナヤスリ科
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種の特性と生息状況
本州、四国、九州および南西諸島の林縁、芝草地、墓地、庭園等に生育する夏緑性シダ植物。都市部では、植栽桝やアスファルトの隙間にも生育が見られる。高さは8~25cmで、胞子葉は直立し、頂部にヤスリ状の胞子嚢を付ける。栄養葉は長い楕円形から広卵形で長さ1~6cm、基部は急に狭くなり、短い柄を持つ。粗い網状の葉脈があり、二次脈はほとんど発達しない。都内全域に分布し、南多摩以西では多産する地域もあるが、区部での記録はごく少ない。
生存を脅かす要因
草地開発、土地造成、人の踏みつけ、管理放棄、遷移進行・植生変化。特に、宅地開発による自生地の消失や管理放棄による日照環境の変化が生存を脅かす主たる要因となっている。
特記事項
分布量自体は少なくないが、植物体が小型で目立たないため、多くの自生地で見逃されている可能性が高い。自生地の保全や低茎草地の維持管理を行うことが望ましい一方、過度の草刈りによって伸長過程の胞子葉を傷付けないように注意が必要である。
執筆者
小林健人
府中市 2003年5月23日
関連文献
海老原淳・松本定・岡武利(2019)自然教育園産シダ植物の再評価~山手線内のシダ植物相との比較から~. 自然教育園報告, 51: 179-190. 国立科学博物館附属自然教育園.
杉並区環境部環境課 編(2020)杉並区自然環境調査報告書(第7次). 227pp.
芹沢俊介(1974)東京都のシダ. 文化財の保護, 7: 13-33. 東京都教育委員会.