ムサシノキスゲ Hemerocallis dumortieri var. musashiensis

被子植物 ワスレグサ科
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種の特性と生息状況
本州(東京)の丘陵地に局所分布する日本固有の多年生草本。よく手入れされた落葉広葉樹林の樹林下や林縁草地に生育する。花茎は高さ60~80cm。外観はゼンテイカに酷似するが、本種は花被片が狭いこと、花筒が短いこと、苞はより円みがあることなどが異なる。また、葉はゼンテイカよりも細い。花期は同属ではもっとも早く、4月下旬~5月。花に芳香があるのも特徴である。都内では、北多摩の台地南端に残された小丘陵地のみに分布し、北西斜面を中心とした落葉広葉樹林内や林縁草地に約1万5千株が生育する。公園管理者や保全団体等の地道な保護活動により、生育は安定している。
生存を脅かす要因
雑木林の管理放棄や園芸目的の採取が生存を脅かす主な要因であると考えられる。
特記事項
個体群を安定的に保つためには、林縁の草地管理に加え、雑木林の下草刈り等の林床管理を継続し、明るい疎林状態を維持することが重要である。また、管理作業と併せて、園芸目的の採取に対する注意喚起、マナー啓発等も積極的に推進することが望ましい。
執筆者
小林健人
府中市 2006年5月13日
関連文献
飯泉優(1961)北多摩植物誌. 私家版. 260pp.
檜山庫三(1953)武蔵野植物記. 内田老鶴圃. 192pp.
檜山庫三(1965)武蔵野の植物. 井上書店. 290pp.