シラホシハナムグリ(在来個体群) Protaetia brevitarsis brevitarsis

コウチュウ目 コガネムシ科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
体長20~25mmの白斑・光沢のあるコガネムシで、シロテンハナムグリとは後翅が青黒いことで区別できる。北海道~九州に分布、本来南関東では珍しく、確実なデータを伴った都内の記録は若干例であった。広葉樹林に生息し、夏季樹液に来る。近年、東京湾岸の海浜公園で大発生し、その近傍における過去の調査で確認されていないことから、これらは移入起源とされている。しかも、2018~2019年頃から、狭山丘陵や神奈川県湘南地域でも多数の個体が見られるようになった。狭山丘陵では従来普通のシロテンハナムグリと数の上で立場が入れ替わる事例が、湘南地域ではカシノナガキクイムシの急増による樹液の浸出に本種が見られるようになったことが報告されている。
生存を脅かす要因
各種開発。樹液の出る健全な広葉樹林の減少。
特記事項
1970年代前半の記録を最後に、今世紀まで記録が途絶えており、近年湾岸で急増した個体群が内陸に分布を広げていることから、在来個体群は都内では絶滅と評価した。
執筆者
雛倉正人
関連文献
酒井香 (2012) 東京都沿岸部のシラホシハナムグリ. 鰓角通信, (25): 15-17.
酒井香・岸本年郎・高桑正敏 (2015) 東京港野鳥公園のコガネムシ科. 神奈川虫報, (185): 11-14.
酒井香・藤岡昌介 (2007) 日本産コガネムシ上科図説 第2巻 食葉群 I.昆虫文献六本脚: 174pp.
原島真二 (2020) 東大和南公園のシラホシハナムグリ. うすばしろ, (59): 18-19.
堀田佳之介・相澤永人・高橋和弘・岸一弘 (2020) 平塚市および周辺部におけるシラホシハナムグリ・シロテンハナムグリの分布状況. 神奈川虫報, (203): 82-86.
宮野浩二所蔵昆虫標本目録作成委員会 (2015) 宮野浩二所蔵昆虫標本目録.宮野浩二所蔵昆虫標本目録作成委員会: 272pp.
緑生研究所・板橋区役所土木部公園緑地課 編 (1986) 板橋区の昆虫類. 板橋区昆虫類等実態調査: 93. 東京都板橋区.