カリマタガヤ Dimeria ornithopoda

被子植物 イネ科
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種の特性と生息状況
全国の向陽湿地に分布する一年生草本。全体に小型で、第二小花の護頴に芒がほとんど見られないタイプをヒメカリマタガヤ(f.microchaeta)として区別し、主に、丘陵地の谷戸湿地に狭義のカリマタガヤ、丘陵上部~低山地の山頂草地や稜線上にヒメカリマタガヤがそれぞれ生育する。茎は細く下部で分枝し、高さ10~30cm。葉は長さ3~7cmで、葉鞘とともに、基部のわずかに膨らんだ長毛がまばらに生える。花序は長さ3~8cmの総が二又状となり、一見、メヒシバ属の植物に似る。メヒシバ属の植物では小穂が腹背に扁平であるのに対し、本種は小穂が左右から扁平であることなどから区別できる。花期は9~10月。都内全域の平地~低山地に点々と分布するが、分布量は少なく、区部では絶滅したものと思われる。
生存を脅かす要因
開発による生育環境の減少や谷戸田の管理放棄による生育環境の悪化が生存を脅かす主な要因であると考えられる。
特記事項
自生地の保全および湿地や草地の草刈りなど、適切な管理を行うことが望ましい。
執筆者
小林健人
八王子市 1987年10月26日
関連文献
畔上能力・菱山忠三郎・吉山寛(1974)東京都南多摩地区植物目録. 文化財の保護, 7: 34-72. 東京都教育委員会.
飯泉優(1961)北多摩植物誌. 私家版. 260pp.
八王子市市史編集専門部会自然部会 編(2016)新八王子市史自然調査報告書 八王子市動植物目録. 八王子市市史編さん室. 562pp.
檜山庫三(1965)武蔵野の植物. 井上書店. 290pp.