オオクジャクシダ Dryopteris dickinsii

シダ植物 オシダ科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
本種は日本から中国を主な分布域とし、ツクシオオクジャクD.handelianaと未知種の雑種起源の常緑性シダである。日本産イワヘゴ類の中でも特徴は分かりやすく、葉身はやや小型で長さ30~40cmの単羽状であり、胞子嚢群が辺縁寄りに付き、明るい黄緑色の羽片の向軸側には明瞭に窪んだ葉脈がみられる。太平洋側地域を中心に、空中湿度が高いスギ林下で見られるが、比較的標高が高いか、もしくは低地でも冷涼な場所に多い傾向がある。都内では南多摩から西多摩の山地沢沿いの植林地や丘陵谷戸などで稀に見られる。
生存を脅かす要因
空中湿度の低下を招くような環境改変、特に森林伐採は直ちに生育を脅かすと考えられる。また、シカ食害を受けやすいので、早い段階で保護対象の群落を選定し、防護柵を設ける必要がある。
特記事項
羽片の切れ込みが深い個体は時々オクマワラビとの雑種であるハコネオオクジャクと誤認されることがある。切れ込みの程度には変異があるので注意深い同定が必要である。
執筆者
堀清鷹
日の出町 2003年8月26日
関連文献
八王子市市史編集専門部会自然部会 編(2016)新八王子市史自然調査報告書 八王子市動植物目録. 八王子市市史編さん室. 562pp.
Hori, K., Watanabe, M., Ebihara, A., Yamazumi, I., Takamiya, M. and Murakami, N.(2019)Genome Constitution of the Dryopteris atrata Complex (Dryopteridaceae). Cytologia, 84(2): 135-141.