アシカキ Leersia japonica
被子植物
イネ科
- 種の特性と生息状況
- 本州以西の水湿地に生育する多年生草本。長い匍匐茎を伸ばして多数に分枝し、高さ20~40cm。ざらつきがあり、茎の節部には下向きの剛毛が密生する。葉も著しくざらつき、平らで長さ5~15cm。円錐花序は直立し、軸から1本ずつ斜出する枝の基部近くから先端にかけて、1小花からなる小穂を嵌め込み状に付ける。小穂は細く、白色~紅紫色。雄しべは6本(※後述の2種は3本)で、開花時には垂れ下がる黄色い葯が目立つ。花期は8~10月。花の無い個体では、同属のサヤヌカグサやエゾノサヤヌカグサと酷似するため、同定には注意が必要である。都内では、かつては本土部全域の水田に生育していたが、現在は極めて稀である。
- 生存を脅かす要因
- 自生環境である小河川や水路などの改変、除草剤の多用などが生存を脅かす要因であると考えられる。
- 特記事項
- 除草剤の使用を控えるとともに、本種の生態を考慮した保全対策を講じることが望ましい。
- 執筆者
- 小林健人
- 関連文献
- 飯泉優・曾根伸典(1982)青梅市の植物. 青梅市立郷土博物館 編. 青梅市文化財調査報告書 9 青梅市の自然Ⅱ[動物・植物編1]: 3-98. 青梅市教育委員会.
石橋正行(1999)Ⅰ植物編. 武蔵村山市史編さん委員会 編. 武蔵村山市史資料編 自然-植物・キノコ・動物-: 1-121. 武蔵村山市.
多摩市文化振興財団 編(2004)多摩市の植物目録. パルテノン多摩資料叢書1. 84pp.
檜山庫三(1965)武蔵野の植物. 井上書店. 290pp.
本田正次・矢野佐・小松崎一雄(1970)葛西地区の植物. 北東低地帯文化財総合調査報告第1分冊 東京都文化財調査報告書, 23: 1-24. 東京都教育委員会.