アシカキ Leersia japonica

被子植物 イネ科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
本州以西の水湿地に生育する多年生草本。長い匍匐茎を伸ばして多数に分枝し、高さ20~40cm。ざらつきがあり、茎の節部には下向きの剛毛が密生する。葉も著しくざらつき、平らで長さ5~15cm。円錐花序は直立し、軸から1本ずつ斜出する枝の基部近くから先端にかけて、1小花からなる小穂を嵌め込み状に付ける。小穂は細く、白色~紅紫色。雄しべは6本(※後述の2種は3本)で、開花時には垂れ下がる黄色い葯が目立つ。花期は8~10月。花の無い個体では、同属のサヤヌカグサやエゾノサヤヌカグサと酷似するため、同定には注意が必要である。都内では、かつては本土部全域の水田に生育していたが、現在は極めて稀である。
生存を脅かす要因
自生環境である小河川や水路などの改変、除草剤の多用などが生存を脅かす要因であると考えられる。
特記事項
除草剤の使用を控えるとともに、本種の生態を考慮した保全対策を講じることが望ましい。
執筆者
小林健人
©内野秀重
町田市 2020年7月29日
関連文献
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多摩市文化振興財団 編(2004)多摩市の植物目録. パルテノン多摩資料叢書1. 84pp.
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