マツバラン Psilotum nudum

シダ植物 マツバラン科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
宮城県以南に分布する着生または地上性の常緑性シダ植物。樹幹や岩の隙間、樹林下の地上などに生育する。地上茎は二叉分枝を繰り返し、葉は痕跡的な突起状の構造のみを有する。胞子嚢群は3個の胞子嚢が癒合して単体胞子嚢群を形成する。都内での古い記録は極めて少ないが、近年は区部および多摩部の各所から生育が報告されている。特に自然度の高い丘陵地等に生育する個体群については、本来の自生であるかどうかの判断が難しい。
生存を脅かす要因
各種開発、園芸採取、自然災害。開発や自然災害に伴う岩壁の喪失および崩落のほか、園芸目的の採取などが主な減少要因であると考えられる。
特記事項
自生地を周辺環境と一体的に保全することが望ましい。なお、江戸時代より古典園芸植物として多くの園芸品種が栽培されてきたことから、都内における本種の生育記録の多くは、庭先や温室等の栽培品が逸出したものである可能性が高い。
執筆者
小林健人
町田市 2021年12月22日 内野秀重
関連文献
飯泉優・曾根伸典(1982)青梅市の植物. 青梅市立郷土博物館 編. 青梅市文化財調査報告書 9 青梅市の自然Ⅱ[動物・植物編1]: 3-98. 青梅市教育委員会.
芹沢俊介(1974)東京都のシダ. 文化財の保護, 7: 13-33. 東京都教育委員会.
日野の自然を守る会植物研究グループ(2016)次世代へ残したい日野市重要自然地域の植物相. 103pp.