マシジミ Corbicula leana

マルスダレガイ目 シジミ科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
淡水産二枚貝類。殻長25mm、殻高23mm、殻幅14mm程度のやや低い亜三角形、やや厚質、腹縁はやや直線的。殻頂は中央に位置し、頂点となる。殻表にはやや粗い明瞭な成長肋を有し、殻皮は帯緑褐色で、不明瞭な褐色斑を散らすことが多い。光沢は弱い。内面腹縁部は紫色で、他は年輪状に淡紫色に染まるものの、白色。低地部の河川・用水路の砂礫底に生息していたが、マシジミが多くの地域で減少したのちに、現在では競合する外来種のタイワンシジミが広い地域に分布を拡大しており、ほぼ都内全域でタイワンシジミに置き換わっているようである。分布図には、両種が含まれていると考えられる。
生存を脅かす要因
水質汚染により激減し、さらに湖沼・河川開発による生息環境の改変も大きな影響を与えていると考えられる。
特記事項
最近の遺伝子解析ではマシジミと外来のタイワンシジミは識別できないとされる例もあり、生物学的にはマシジミとタイワンシジミは同種ということになると考えられる(地理的な亜種と認めることも困難)。さらに、マシジミ自体が近世~近代の”外来種”であるというのが筆者の見解である。しかし、日本に移入されたマシジミという群は、ある程度殻形態で識別でき、「古くから人々に親しまれてきた”群”は認識単位として残すべきである」と考えていることから、ここでは、マシジミを種レベルとして、対象種とした。
執筆者
黒住耐二
武蔵 戦前
関連文献
上島励・長谷川和範・齋藤寛 (2000) 皇居の陸産および淡水産貝類. 国立科学博物館専報, (35): 197-210.
川上誠太 (1985) 東京都多摩地区の淡水貝(中間報告). みたまき, (19): 14-19.
黒住耐二 (2003) 多摩川水系の貝類からみた自然環境の現状把握と保全に関する研究 (研究助成・学術研究, VOL.31-No.226). (財)とうきゅう環境浄化財団: 242pp.
黒住耐二 (2014) 淡水二枚貝マシジミは近世期の外来種か-遺跡出土貝類からの証明. 髙梨学術研究基金年報(平成25年度研究成果概要報告): 67-73.
瀬尾友樹・福田宏・近藤高貴(2020) マシジミ. 岡山県版レッドデータブック2020. 岡山県野生動植物調査検討会 編: 647. 岡山県環境文化部自然環境課. https://www.pref.okayama.jp/page/656841.html (参照2022.3.19).