ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. disticha

被子植物 ワスレグサ科
種の特性と生息状況
北海道を除く全国の林縁草地、裾狩り斜面、河川堤防などに生育する大型の多年生草本。高さ50~70cmの花茎の上部に、7~8月頃、橙赤色の6弁花を複数付ける。花は、枯れると子房ごと落ちて結実しないものが多い。近縁のヤブカンゾウ(重弁花)と比べ、葉幅が10~15mmと狭く、色は緑色。また、形態が酷似するハマカンゾウとは、葉質がより薄く冬期に枯れること、開花期がやや早いこと、内陸部に生育することなどにより区別される。都内では、平地から低山地にかけて広く分布するが、やや減少傾向にある。特に区部における分布の現状については情報が不足しており、適正な評価が困難である。
生存を脅かす要因
各種開発に伴う造成や河川の護岸改修、植生遷移の進行などによる、本種の生育に適した草地環境の減少が生存を脅かす主な要因であると考えられる。
特記事項
工事に際して自生地を保全することや、定期的な草刈りなどの管理を行うことが望ましい。都市部では、グラウンドカバー資材として本種や本種に近縁の園芸品種が各地で導入されており、時に、自生由来の個体群かどうかの判断が難しい場合もある。
執筆者
小林健人
内野秀重
町田市 2009年7月19日
関連文献
あきる野市環境委員会自然環境調査部会(2013)あきる野市自然環境調査報告書(平成21~23年度). あきる野市. 146pp.
日野の自然を守る会植物研究グループ(2016)次世代へ残したい日野市重要自然地域の植物相. 103pp.
深谷拓実(2019)大田区内植物目録2019年度版. 私家版. 30pp.