タニイヌワラビ Athyrium otophorum

シダ植物 メシダ科
種の特性と生息状況
本州(東北南部以南)、四国、九州の暖温帯に分布する常緑性シダ。葉身は三角状楕円形、2回羽状浅~深裂。葉は硬い紙質。軸、葉柄は硬く、紫色を帯びる。南多摩では丘陵地のスギ植林内に生育する。
生存を脅かす要因
確認されている南多摩の個体に関しては、丘陵地への開発による山林伐採、土地造成。また、生育地のスギ植林へのなんらかの攪乱、管理の放棄なども本種の生存を脅かすおそれがある。
特記事項
情報不足の西多摩の記録は高橋(1936)によるものである。当時の古里附バス停(現在の青梅市古里付バス停)から南側の多摩川を渡った付近でマタタビ、クサコアカソ、ジャニンジンなどとともにリストアップされている。標本は未確認。
執筆者
宮崎卓
八王子市 2021年11月7日 内野秀重
関連文献
倉田悟(1953)相州のナガバノイタチシダ?と奥多摩のタニイヌワラビ?. 野草, 19(7: 169): 2-4. 野外植物研究会.
倉田悟・中池敏之 編(1990)日本のシダ植物図鑑6. 東京大学出版会. 881pp.
高橋保平(1936)奥多摩の採集. 野草, 2(7): 13-15. 野外植物研究会.
八王子市市史編集専門部会自然部会 編(2016)新八王子市史自然調査報告書 八王子市動植物目録. 八王子市市史編さん室. 562pp.