コアトワアオゴミムシ Chlaenius hamifer

コウチュウ目 オサムシ科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
体長11.8~12.5mm。南方系のアオゴミムシ類の一種で東南アジアに広く分布する。アトワアオゴミムシChlaenius  virguliferに似るが、小型で、頭胸部は緑銅光沢が強く、翅端紋が発達する傾向が強い。平野部の水田や河川敷の湿地環境、湿潤な草原に生息する。芝地のような低茎草地に生息するとの情報もある。灯火に飛来する。国内では、本州、四国、九州、琉球に分布。関東平野が北限域と考えられており、全国的には少ない種のようだが、関東平野からの記録は比較的多い。東京都からの環境調査による確認としては、荒川河川敷、多摩川水系周辺のほか、葛飾区の水元公園、目黒区、八王子市があるが、再検証できる標本が残されているかは不明である。江戸川区の 葛西臨海公園からは、ごく最近の記録もある。
生存を脅かす要因
湖沼、河川、湿地、草地開発にともなう湿地環境の減少、消失、変質。圃場整備による水田と周辺環境の画一化。水質汚濁による水辺環境の悪化。管理放棄、遷移進行による湿地の乾燥化。
執筆者
亀澤洋
協力者
内田大貴
関連文献
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