クロモ Hydrilla verticillata

被子植物 トチカガミ科
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種の特性と生息状況
全国の池や用水路などに生育する多年生の沈水植物。各節には3~8枚の葉が輪生し、8~10月に水面で開花する。雌雄異株と同株の系統があるという。都内分布の中心は区部低地であり、利根川水系の水辺に現存している。北多摩や南多摩、西多摩ではもともと自生環境は少ないうえに、早い段階で消滅かそれに近い状態に至ったと思われる。南多摩では、1967年に八王子市粟須(現小宮町)で採集された記録が残されている。
生存を脅かす要因
開発に伴う池や水路の埋め立てなどが生育地を狭め、さらに、オオカナダモやコカナダモなどの外来種がクロモの生育環境を奪ったものと推測される。
特記事項
上記に加え、アメリカザリガニ進出による水草の摂食・切断による影響も生存を脅かす要因として無視できない。
執筆者
内野秀重
©内野秀重
鹿児島県 2012年8月15日
関連文献
小野幹雄(1991)多摩川水系東京都地域内の絶滅危惧植物の現況に関する調査研究. (財)とうきゅう環境浄化財団(学術)研究助成, 137: 1–21.
須田孫七(2001)周辺三池のトンボと水生植物. 武蔵野市生物生息状況調査報告書: 24-41. 武蔵野市.
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本田正次・矢野佐・小松崎一雄(1970)葛西地区の植物. 北東低地帯文化財総合調査報告第1分冊 東京都文化財調査報告書, 23: 1-24. 東京都教育委員会.