オオコウラナメクジ Nipponarion carinatus

有肺目 オオコウラナメクジ科
種の特性と生息状況
陸産ナメクジ類。伸長時の体長は3.5cm程度。淡濁淡褐色で、濃褐色のマダラ斑がまばらにある。背面には細かく、やや密な皺が明らか。背面に膜状のコウラが内在している楯板があり、呼吸口は右側後部に位置している。楯板の後端から尾端に強く明瞭な角(稜)が特徴。本州~九州の主に人為的攪乱のない落葉樹林に分布し、倒木や落葉下に生息する。都内では、比較的近年に南多摩の裏高尾で撮影された写真によって東京都に分布することが明らかになったが、現時点ではこの1例のみが知られている。全国的にも個体数は稀な種である。
生存を脅かす要因
森林伐採等の各種開発が減少の要因と考えられるが、降水量減少等の林床環境の乾燥のような温暖化が影響している可能性も想定される。
特記事項
今後の詳細な検討によっては、所属する科が変更になる可能性も高い。
執筆者
黒住耐二
東京都外 1976年
関連文献
東正雄(1995) 原色日本陸産貝類図鑑.増補改訂版. 保育社: 343pp.+ 80pls.
 黒住耐二 (2016) 7.貝類. 八王子市動植物目録 新八王子市史自然調査報告書. 八王子市市史編集専門部会自然部会 編: 247-254. 八王子市市史編さん室.
前田信二. 2008. ネイチャーガイド 高尾山の自然図鑑. メイツ出版: 175pp.
Barker, G. M. (1999). Naturalised Terrestrial Stylommatophora (Mollusca: Gastropoda). Fauna of New Zealand, 38,254pp.